褌へのこだわりや雑学を語るサイト 「日本の伝統的衣装ふんどし」を運営。
■ホームページを開設したきっかけを教えてください。 ホームページは、鉄道と旅の自分のオフィシャルなページを立ち上げたのが最初です。 褌(ふんどし)は別に眼中になかったというか、そういうのがあればいいなという感じだったんですが、その矢先、マスコミで褌というものに対してすごい偏見というか、褌という言葉を使わなくなってきたんですよ。代わりに下帯とか締め込みとか。お祭りやお相撲に使う分にはいいんですけど、普通の人が使う越中褌まで下帯といったり、褌という言葉を意識的に使わなくなっていったんですよね。そこで、おかしいぞ、と思って初めて簡単なホームページを作ったんですね。 でも後で「褌」で検索するとアダルトサイトばっかりなんですよ。それでこれはちょっとまずいと思ってね。アダルトとは一線を引くかたちで立ち上げました。そういう人も見に来てくれるのは否定できませんが、ポリシーだけは守ろうと。まずは褌に対する偏見をなくすということ、こんなにいいものだということを言ってましたら、楽になったとか、気軽になったというメールが来るようになりましたね。 最初に立ち上げたのは平成11年の2月だったと思います。ページ数もなかったんですけど、仕事であちこち行くついでに取材するようになって、ページが増えていきましたね。
■これからHPを作る人へのアドバイスをお願いします。 見てくれであまり人を意識しない方がいいと思うんですよね。 自己主張をしてみてそれで見に来てくれなければしょうがないんで。 商売の人ならそこでPRすればいいし。自己主張も自分のPRみたいなもんなんで。 自分が伝えたいものを最大限に、それもストレートに伝えればいいと思うんですよね。 それと見やすいページにすることが一番ですね。とにかくトップページが何秒かでパッと見られるものでないと僕はもう見る気がしないしね。 ホームページを見ているだけでその人の人柄がわかっちゃうんですね。ぎらぎら飾ってたり、やたらデザインに凝ってたりね。基本的には自分が目で見るわけだから、見やすく。 著作権とプライバシーには気をつけてます。写真も僕以外はぼかしてますし。いいですよ、と言っていただける方は最近出してますけど。 褌のサイトはアダルトサイトが多くて。某小説家以来そういうのが定着しちゃってますからね。褌をしている人はみんな右翼じゃないか、といわれたりね。みんなそれを意識しちゃってるから、正当な褌のサイトって表に出てこないんですよね。 僕らにすれば、褌というのは一番気に入っている下着であると。たかが下着じゃないか、という感覚があるんですよ。なにも大義名分があってそんなことやっているわけじゃない。もともとはそれが大衆的な日本の下着である、ということがあるんですよ。
■英語版のページも作られてますが、やはり海外からの問い合わせも多いんですか? ええ、つたない英語でページをあげたら、海外からもけっこう反応があるんですよ。 - 外国の人はチャンバラとか時代劇に興味のある人が多いんでしょうか? それはないですね。 マレーシアの人で、大学の課程で南方の下着(褌)を研究しているという人からメールが来たんですが、その人のページをみたらすごいんですよ。あれだけ学術的にやっている人はいないですね。褌がそこまで世界とつながっちゃうというのはすごいですよ。
■褌を締めると背筋がのびたようになって姿勢が良くなるような感じがする、との記述を読んだことがあるのですが、それは六尺をしめるときに感じられるのでしょうか?実際褌を締めている方は姿勢がいいのでしょうか? 僕は六尺はあまりしないです。六尺褌は泳ぐときや相撲を取るときに儀礼用に使うもんだと思ってるの。江戸時代の労働者はみんな六尺だったけど、今の時代にはちょっと合わないかなって気がするの。 ハワイに行ったときは褌で泳いだけどね。年に何回か外国に行って食事するとき、ネクタイが嫌いなので着物で行くんです。それで着物に褌していると、あ、日本人ってこんなものかな、と実感するのね。 六尺褌着て精神統一、とかそういうのはそんなに好きじゃない。日常的、ごく自然体なんですよ。だから姿勢がよくなるとかは意識しないね。でも外国に行ったときにはそういうふうに「日本人」をすごく意識しますね。
■越中褌の締め方をみるかぎりでは、紐をどうきつく結んでも、ゆるんできそうに思うのですが、そんなことはないのでしょうか? それはないね。ただあれは慣れないとだめなんです。自分にあった締め方がだんだんわかってくるんです。自分はおなかが出ているからこのくらいで締めればいいかな、とか。案ずるより生むが易しです。確かにズボンでやっているとずれてくるんですが、それも慣れれば大丈夫です。ただ、ジーンズにはちょっと合わないかもしれないな。 これから夏になると浴衣とかありますけど、浴衣は絶対に褌じゃないとダメだね。最近の若い人の着物の着方はひどい。帯はバカボンみたいな締め方だし。へその上じゃなくてへその下でぎゅっと絞めないとダメなんだよね。それと浴衣に足袋を履いている人もおかしい。今はある程度許されているけど、本当のお洒落は浴衣に裸足。その方がよっぽど色気があるし、粋なんですよ。 - ホームページを見ていると粋って言葉が多いですね。 うん。着物を着るっていう人は、やっぱりどこかで目立ちたいところがあるんですよ。 ただ、その「粋」を間違えるとコスプレになっちゃうんですよ。 - ここでコスプレという言葉が出るとは(笑) 若い人が着物着るのはいいけど、そういう(粋を解しない)人とは一緒に着たくないな。
■越中さんは何枚ぐらい褌をもっていらっしゃるのですか? 僕が持っているのはそんなに多くないですよ。普段使っているのは5、6枚ですね。 資料用に使っているのはけっこうありますけど。 地方や人によって(褌は)全然ちがうの。着る人によってここはこうじゃなきゃいけないっていうのがあるんですよ。そういうひとりひとりのこだわりが面白いの。 高知県の赤岡ってところで、絵金っていう芝居絵を書いていた絵師がいるんだけど、その人はマイナーだけどすごく評価されているんです。町興しに燃えるおばさんが、パワーアップ褌っていうのを作ったんですが、どうせなら絵金の絵で褌つくんなさいよって僕が言ったら、その場ですぐプリントして2、3枚作ってくれましたよ。各地に繊維の産地があってけっこう町興しでそういう褌を作ってるんですよ。 すぐ(資料用の褌が)何百枚になっちゃうんだけど、じゃんけんで人にあげたりしてます。呉服屋さんで謝礼でもらったのと芝居で使う下がりという褌とか、資料的なものは保存してますが。 - やはり今日も褌ですか? もちろん。僕は北海道の真冬以外は、ステテコ・ズボン下は穿かないですよ。 それと着物着るからね。着物着ると一番いいですよ、褌は。 よくズボンやジーンズはいてる人で、褌をはくとどうもごわごわするから何かいい方法ないですかって聞かれるけど、それはないですよ(笑)それがイヤだったら着物着なさい、と。ただし前を折れば可能だけど。そのへんは全部僕のホームページに書いてある。
■褌に興味をもっても、なかなか踏み込めない方も多いと思うのですが、そんな方に励ましのメッセージをお願いします。 まずは僕のホームページ見てください。したくなる人多いよ!(笑) とにかく躊躇する理由は何もない。逆に理由を聞きたいくらいないんですよ。ただある程度年齢を重ねたほうがいいと思うんですよ。若い茶髪の子が褌してもね。なぜ僕は褌するんだろうっていうのを考えて、そのへんの気持ちをわかってほしいですね。 昔は褌なんて普通だったのにね。日本から褌をダメにしたのはアメリカなんですよ。いくら戦争に負けてもそこまで口出さなくてもいいじゃないですか。そういうことをたまにチクチクっとホームページにも書くんですけどね。 湧水とか、路面電車とか、なくなってみて初めて(良さが)わかるものもあるんですよね。路面電車並に少しは褌も見直されてもいいんじゃないかと。
饒舌な越中文俊さんの熱い語りに、終始圧倒されたインタビューでした。 インターネットと褌…一見ミスマッチに思えますが、褌を愛する多くの方が、このホームページを介して結ばれているんだな、とお話を伺って実感しました。 お忙しい中、取材のお時間をいただきどうもありがとうございました!